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行政法における「代執行(だいしっこう)」とは、国民が行政上の義務(例:不法占拠した建物の撤去)を果たさない場合に、行政庁が自ら、または第三者に命じてその義務を果たさせ、その費用を本人から徴収する仕組みのことです。
行政上の強制執行の中で、最もポピュラーで試験にも頻出する制度です。
1. 代執行ができるための「4つの要件」
行政代執行法第2条により、以下のすべてを満たす必要があります。
- 代替的作為義務であること: 「他人が代わりにできること」に限られます(例:建物の解体、看板の撤去)。
※「人に謝る」「引越しをする」といった、本人しかできないこと(非代替的義務)は代執行できません。 - 他の手段では履行を確保するのが困難であること: 代執行は強力な手段なので、他に穏やかな方法があればそちらを優先します(補充性)。
- 放置することが著しく公益に反すること: 単にルール違反なだけでなく、そのままにすると危険だったり、公衆の迷惑になったりする場合です。
- 相当の履行期限を定めた「戒告」を経ていること: いきなり重機で壊しに行くことはできません。
2. 代執行の手続き(4ステップ)
手続きの順番を入れ替える問題がよく出ます。この流れを丸暗記してください。
- 戒告(かいこく): 「〇月〇日までに壊さないと、代わりに壊しますよ」と文書で警告します。
- 通知(つうち): 期限を過ぎたら、「〇月〇日の〇時に代執行を行います」と改めて通知します。
- 実行: 実際に建物を壊したり、撤去したりします。この際、執行責任者は「執行令書」を携帯し、要求があれば提示しなければなりません。
- 費用徴収: かかった実費(人件費や重機代など)を、本人から強制的に徴収します。
3. 注意点:代執行が「できない」ケース
- 非代替的義務: 「証言する」「同居する」など。
- 不作為義務: 「騒ぎを起こしてはいけない」「営業してはいけない」といった「〜しない」という義務。これに違反した場合は、代執行ではなく「執行罰(過料)」などで対応します。
- 金銭納付義務: 税金の未納などは、代執行ではなく「滞納処分」という別の手続きで行います。
4. 具体的なイメージ
よくニュースで流れる**「ゴミ屋敷の強制撤去」や「空き家の解体」**がまさにこれです。
行政が「片付けなさい」と何度も命令(行政行為)を出したのに、飼い主や持ち主が従わない場合に、最後の手段として発動されます。
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